板倉づくりとは
伝統と性能が活きる伝統構法『板倉づくり』
板倉づくりとは柱と柱の間に30mmの杉板を落とし込んで壁を造る構法です。板倉づくりの根源は神明造りです。伊勢神宮に代表される神明造はもっとも古い神社建築様式と言われています。伊勢神宮と同じ構法と知ってしまうと背筋がのびませんか(笑)
板倉づくりの家は、しなやかに揺れる高い耐震性能で安全、安心に暮らすことができます。地震国日本で、建物がしなやかに揺れて地震力を吸収する。それが板倉の家です。板倉の落とし壁すべてが耐力壁となり、耐震性能が高く穏やかに安全に暮らすことが出来ます。
しなやかに揺れる高い耐震性能
板倉づくりの耐震性能
耐震の知識
東日本大震災以降、より一層「地震に強い家」が求められるようになり、「耐震」「制震」「免震」といった建築技術も一般に広く知られるようになりました。
耐震構造
壁や柱を強化し、補強材を入れることで建物自体を堅くして振動に対抗する。
制震構造
建物内にダンパーと呼ばれる振動軽減装置を設置し、地震のエネルギーを吸収。建物に粘りをもたせて振動を抑える。
免震構造
建物と地面の間に免震装置を設置。建物を地面から絶縁して、振動を伝えない。
筋違工法との違い
昔からよく使われる耐震構造である筋違工法は、筋交いを金物でビス止めします。このビスが曲者です。繰り返し力が加わるとビスが緩んでしまうことが創造してしまいます。そこに力が1点に集中しますので、建物の損傷が大きくなってしまいます。
板倉づくりは柱の側面に溝を彫り、板を落とし込んでいきますので、脱落や剥落、座屈による構造体の損傷が少なく、柱と板との間の木のめり込みにより力が分散され強度が発揮されます。
そして板を落とし込んでいきますので、板と板の摩擦による力の減衰もあります。これは制震構造につながるとも言えます。
筋違工法の場合
力が加わる箇所が集中するため、地震や強風などでの損傷が大きくなる。
板倉づくりの場合
力が分散されるため、大きな地震や強風が来ても損傷は比較的小さくなる。
柔らかい材料と構造が地震を制震
板倉づくりとは柱と柱の間に30mmの杉板を落とし込んで壁を造る構法です。この構法は筑波大学の安藤邦廣教授が研究され現代の構法に即した形に考案されたのが始まりでした。板倉づくりや伝統構法(土壁や貫構法)は柔らかな材料やしなやかな構造から成る構造体です。柱に掘られた溝に30mmの板を落とし込むことにより水平力の地震応力が発生した時、木と木がめり込み、そのめり込みが地震力に対して力を発揮します。板倉の板は柱間の溝に落としてある為、稀に大きな地震力が働いても座屈に強く、建物が大きく傾いても倒壊しにくいと言われています。座屈や脱落が起きにくく建物の急激な耐力の減少によって倒壊しにくい構造体と考えます。これは人の命を守る上で有効な構法と考えます。
職人技で強固になる板倉づくりの家
現在の建築基準法を遵守しますと金物を取り付けなければいけない部分もでてくることも有ります。(構造計算で安全と認められれば金物を使わなくても良いです)金物はボルト、釘やビスで耐力を確保します。木と金物の相性は決して良いとはいえないので、繰り返し応力がきたときにビスが効いているのか不安なところがあります。金物だけに頼らず大工職人の技術、伝統構法を取り入れることにより柱1本、仕口1箇所、継ぎ手1箇所が耐力を持つことで、家全体では数百箇所の耐力を持つことになるのです。たとえ数箇所が破壊されても、他の部分で耐力を確保すると考えます。
夏は涼しく・冬は暖かく
板倉づくりの室内環境
木材の調湿効果で涼しく
板倉づくりで使用する杉材には調湿効果があり、木材の重さの約7%の湿度を吸ってくれます。日本は高温多湿の気候風土なので木材の調湿効果が最適な室内環境をつくるのに役立ちます。
木材の断熱効果を活かす
杉板はグラスウールの半分ほどの断熱効果があります。さらに杉板には導管があり(空気の層のようなもの)蓄熱効果もあります。
コンクリートの住宅は熱しやすく冷めやすいので、夏は暑く、冬は寒いですね。
逆にログハウスは木に囲まれていますので、もともと木材自体は冷たくないですし、空間が温まると蓄熱作用により長い時間部屋中を暖めてくれます。板倉づくりはログハウスのような空間効果もあります。
安全性と快適な空間
板倉づくりの防火性と環境効果
木造でも防火性はOK
木は燃えるイメージがありますね。しかし防火実験で1分間に0.6mmしか燃えないことが実証されました。これらの実験より板倉の構造は防火構造の認定を取得することができました。
鎮静効果と睡眠の関係
ある大学の先生実験で白いクロスの内装、木目柄のクロスの内装、杉無垢材の内装の部屋で睡眠の質と作業性でどのような効果があるかを行いました。
就寝前の自律神経では杉無垢材の部屋における交換神経系の沈静鎮静効果を確認し木材の臭覚刺激が交感神経を沈静に導くことを確認しました。
また杉無垢材の部屋では深睡眠時の交感神経の沈静と延伸の効果も確認しました。
作業性においても単純作業の生産工場の可能性も確認しました。
いずれもデータも白いクロスの部屋よりも杉無垢材の部屋の方が自律神経を介して睡眠と作業成績に及ぼす影響は高く健康かつ高い知的生産性をもたらす住環境の整備の一助けになりうる結果となりました。
在来工法もお任せください
在来工法の木造住宅の設計も可能です。
木造在来工法も造ります。筋交いを使用した在来の家。建築基準法を順守し、基準法の2倍の筋違を目安にしてバランスよく配置いたします。
筋違の家は建物を固く揺れないようにします。建物は揺れにくくなる反面、家の住人や家具類に衝撃が加わりますので、そういった部分に配慮が必要となります。板倉づくり、在来工法、共に多くの実績がございますので、まずはお気軽にご相談ください。
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